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心理孊ノヌト: ギブ゜ンの生態孊的芖芚論䞊
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ギブ゜ンの生態孊的芖芚論䞊


はじめに
第1章 知芚環境の諞盞に぀いお
 1動物ず環境の盞互関係 2媒質、物質、面 3面の生態孊的法則 4生掻䜓にずっお意味のある環境
第2章 芖知芚に関する情報に぀いお
 1攟射光ず包囲光 2刺激䜜甚ず刺激情報ずの関係 3刺激の抂念の再考 4網膜像の䌝統的理論 5包囲光配列の特城
第3章 事象ず事象を知芚するための情報
 1生態孊的事象の分類 2䜕を事象ず考えるか 3事象の知芚 4自己知芚に関する光孊的情報 5アフォヌダンスの理論

はじめに


 1月11日のPC講座で、ギブ゜ンの『生態孊的芖芚論』サむ゚ンス瀟の玹介をおこなったが、ずりあえず、ギブ゜ンに぀いおの感想文のようなものを曞いおみよう。

 ギブ゜ンの本を読み始めお最初の感想は、子䟛の頃よく読んだ科孊の本の類に再䌚した、ずいうものだった。䞭孊の頃、図曞委員をしおいお、䞭孊の図曞通にあった科孊に぀いおの本を片っ端から読んでいたが、その時の感芚が甊っおきたのだ。もっずも、ただ論理孊的な思考が出来なかったせいか、『昆虫蚘』は郚分的にしか読めなかったし、『皮の起源』も難しくお読めなかった。科孊の本は倧抵、それたでの通説をずりあげお、それが圹に立たなくなっおいるこずを瀺し、次いで、新しい説を提起しおそれを実蚌する、ずいうように組み立おられおいる。ギブ゜ンの本も、ニュヌトンの時間、空間抂念や、物理孊的な運動論が、生態孊の芋地からは圹に立たないこずを瀺し、生態孊的力孊や、生態孊的光孊を提起しおいる点で同じパタヌンを螏んでいるのだ。
 次にギブ゜ンの新しい提起は、非垞にわかりやすく、たた、玍埗もできるのだが、䜕故そうなのか、ずいう根拠が十分に瀺されおいない、ず感じた。個々の説明に぀いお、党くその通りだず思い぀぀も、䜕故そうなのか、ずいう点になるず䜕かが欠萜しおいお、䞀寞䞍安になっおくる。
 第䞉に、䞊蚘の点ず関連するず思われるが、ギブ゜ンはプラグマティズムの立堎に立っおいお、だから、ニュヌトンの力孊は芖芚ずいう生態孊的な問題を考慮する堎合には圹に立たない、ずいっお、新しく生態孊的光孊を提起しおいるのだが、この圹に立たない理由もあたりにも簡単で、十分考慮されおいない、ずいうこずだ。逆にみれば、ギブ゜ンの生態孊的光孊は、芖芚に぀いおの研究に圹立おばよい、ずいうこずで、プラグマティズムの立堎に灜いされお、それの成立根拠に぀いお究明するこずに意矩をみいだしおいない、ずいうこずになっおいるようだ。
 こんな感想をもったこずで、ずりあえず、ギブ゜ンのプラグマティックな考え方に぀いおの異論をたずめおみようずいう気持ちになっおいる。ずいうのも、生態孊的光孊や生態孊的力孊は結局は集合論などの数孊的凊理が問われおきお、私自身の手に負えないし、でもギブ゜ンの提起はあたりにも重芁なので、そのプラグマティズム的偏向から救い出しおみたいのだ。なお、ギブ゜ンのアフォヌダンスを始めずする基本的な問題提起は、䜐々朚正人『アフォヌダンス――新しい認知の理論』岩波曞店にコンパクトにたずめられおいるので、この知識を前提に論じるこずにする。

第1章 知芚環境の諞盞に぀いお


1動物ず環境の盞互関係


 ギブ゜ンの本は4郚から成っおいる。I知芚環境の諞盞、II芖知芚に関する情報、III芖知芚、IV画像による衚珟、がそれだ。ギブ゜ンの本のテヌマは、「我々がいかに芋るのか」3頁ずいうこずであり、たた「なぜ、物がそのように芋えるのか」3頁ずいうこずだから、たずIで環境に぀いお生態孊の氎準での解明がなされ、次にIIで知芚に圹立぀情報ずしおの光に぀いお究明され、そしおIIIで知芚過皋に぀いお述べられおいる。IVは補足的な郚分なので、今回はずりあげないでおこう。
 さお、ギブ゜ンによれば、環境ずは知芚し、行動する生掻䜓ずしおの「動物の呚囲の䞖界」7頁のこずであり、怍物は感芚噚官や筋組織をもたないので、無機物ず同じように扱われる。だから、ギブ゜ンにずっおの問題は、単なる環境の諞盞ではなくお、動物ず環境の盞互関係の諞盞なのだ。この点に぀いお、ギブ゜ンは冒頭で「『動物』ず『環境』ずいう二぀の語は互いに切り離すこずの出来ない察ずなっおいるずいうこずが看過されがちなので、䞡者の盞互関係に぀いお改めお考えおみるこずは意味がある。それぞれの語は暗に䞀方の語を含んでいる。動物は自分を取り巻く環境なくしおずうおい存圚しえない」8頁ず述べおいる。
 ずころでこのように考えるず、物理孊的環境の抂念の吟味が必芁ずなる。
「動物ず環境の盞互関係は物理孊やいわゆる自然科孊によっお説明される類のものではない。空間や時間、物質、゚ネルギヌなどの基本的抂念は圓然のこずながら、生掻䜓――環境の抂念、あるいは皮ずその生息環境の抂念に導くものではない。その代わり、物理孊的抂念はおそらく、動物を物理的䞖界の䞭で極端に耇雑なものずしお考えられるこずになるであろう。動物は物理的䞖界の䞭の高床に組織化された郚分ずしお考えられおも、それはなお䞀郚分であり、䞀぀の物に過ぎない。こうした考え方は、動物ずいう察象が特殊な仕方で囲たれおいるずいうこず、すなわち、ある環境が生き物を取り囲んでいる仕方は、䞀矀の物䜓がある物理的な物䜓を取り巻いおいる堎合ずは異なっおいるずいう事実を無芖しおいる。したがっお、物理的環境ずいう甚語は、我々を混乱させるこずになり、本曞ではこの甚語を甚いるこずを出来るだけ避けるこずにする。
 「動物はすべお倚少ずも知芚者であり、行動者である。叀颚な甚語を䜿うず、動物は知芚する力があり、自発的に動くものである。そしお、環境の知芚者であり、環境内の行動者である。しかし、物理孊の䞖界を知芚するわけでもないし、物理孊の時間ず空間の䞭で行動するのではない。」8頁

 ここでギブ゜ンは、いわゆる物理孊的䞖界芳にもずづく環境䞖界に぀いおの解釈が圓を埗ないものであるこずに぀いお述べおいる。環境䞖界に぀いおの解釈は、物理孊で定矩されおいる時間や空間や運動の抂念によっおはなしえない、ずいうのだが、その説明の仕方がすこし匷匕だ。
 もずもず物理孊は、䞖界の事物を質量に還元し、量の盞互関係を運動ぞず抜象し、抜象的な状態におけるその運動法則を解明したものだ。だからそれは、珟実を量ず運動ずいう面から芋る限りで劥圓するものであり、それ以倖の芁玠を持ち蟌むず理論的な凊理が䞍可胜ずなる。そうであるなら、物理孊がギブ゜ンの念頭においおいる生態孊的環境の解釈に圹立たないのは圓たり前だ。
 䟋えば、ギブ゜ンずは逆に、物理孊的䞖界ずいう䞀぀の抜象䞖界から䞊向しおいっお、生態孊的環境に到る途をたどるこずはできないのだろうか。抜象的な時間、空間が仮定され、そこでの事物は党お質点ぞず還元され、それらの運動が蚘述される、ずいう物理的䞖界から、生きものず環境ずの盞互関係ずいう生態孊的環境䞖界ぞず䞊向するず、時間は生呜の流れずなり、空間は䞇物で満たされ、運動は、生呜掻動や動物の掻動ずいったものを含んだ倚様なものずなる、ずいうように。
 ずたれ、ギブ゜ンの蚀う環境ずは、ミリメヌトルからメヌトルの範囲に含たれ、土の粒子から小石、岩、草の葉など党おの事象が環境の構成単䜍で、これらは入れ子状態になっお党䜓の環境を構成しおいる。そしお、環境の文字通りの基瀎は地面で、これは平らになろうずする傟向をもっおいる。問題は地衚面における事象の倉化であり、過皋、倉化、継起を知るこずだ。その際に地䞊の環境の圢態ずしおある配眮の䞍倉性ず倉化、あるいは倉化のもずでの䞍倉性持続性に泚目するこずが必芁だ。
「かなりの郚分が固定しおおり、䞀郚は柔軟であり、たた倧郚分は䞍動で、郚分的に動くこずのできる環境、換蚀すれば、倚くの面では䞍倉だが、他の面は倉化する䞖界、ずはいっおも䞀方の極が完党に固定し、他方の極が混沌ずしたずいうものではない、このような珟実の環境䞖界こそ我々の研究にずっお重芁な事実なのである。」15頁

 ギブ゜ンは、環境䞖界の珟実をこのように述べおいるが、しかし、よく考えおみれば、これも䞀぀の抜象像である。もちろん、抜象像だからダメだず蚀っおいるのではなく、ギブ゜ンがどのような芖点から珟実を抜象しおいるかを知るこずが倧切だ。この問題に぀いおはあずで觊れるずしお、次に、ギブ゜ンの運動に぀いおの考えを玹介しおおこう。
「環境内の物の運動は空間の物䜓運動ずは異なった皮類のものである。  事実、環境の運動はアむザック・ニュヌトンによっお研究された運動ずは皋遠いので、それは単䜓の䜍眮の倉化よりむしろ構造の倉化ずしお、点の堎所の倉化より圢の倉化ずしお、あるいはその蚀葉の䞀般的意味における運動ずいうよりむしろ配眮の倉化ず考えた方が適しおいる。」15頁

 ギブ゜ンのこのようなニュヌトン力孊の評䟡の仕方にも匕っかかる。ニュヌトンは環境䞖界を抜象しお力孊的䞖界に到達したのであっお、たしかに環境䞖界ずは別の䞖界だず蚀えないこずもないが、しかし、それは抜象化された環境䞖界であり、ニュヌトンの法則はギブ゜ンが念頭においおいる環境の運動をも支配しおいる。もちろんニュヌトンの力孊で、環境䞖界の運動の具䜓的な枠組を蚘述できないこずは明らかである。しかし、ギブ゜ンのように、もし匕力や重力が「環境の運動」に皋遠い、ずいうなら、環境䞖界そのものの成り立ちを吊定しおしたうこずになるだろう。もちろん、ギブ゜ンが蚀いたいこずはよくわかるのだか。

2媒質、物質、面


 ギブ゜ンは生態的光孊の芋地からみた環境を、動物ず環境ずの盞互関係ず捉えたうえで、次に、環境を構成する基本的芁玠ずしお、媒質、物質、面の䞉぀を䞊げおいる。
「叀兞的物理孊によれば、䞖界は空間内の諞物䜓から成っおいる。したがっおややもすれば、我々は空間内の諞物䜓から成る物理的䞖界に䜏み、我々が知芚するものは空間内の察象から成る、ずいう仮定に誘われる。しかし、この仮定は非垞に疑わしい。地䞊環境は媒質ず物質、および䞡者を分か぀面によっお適切に蚘述される。」17頁

 ここで叀兞物理孊による環境䞖界の抜象ずは別の、ギブ゜ンによる環境䞖界の抜象に぀いお述べおおく必芁があろう。先にみた動物ず環境の盞互䜜甚では、ギブ゜ンは、動物はどのようにしお知芚するか、ずいうテヌマから問題に接近しようずしおいたが、ここでは、芖芚がどのように働くか、ずいうこずずしお捉えられおいるこずが明らかになっおくる。
 芖芚、぀たりものを芋る、ずいう芋地から、人間ず環境䞖界ずの関係を考えるず、それは、光の関係だ、ずいうこずになる。぀たり、ギブ゜ンの生態孊的光孊ずは、䞖界を芋る人間を、䞖界ず人間ずの光の関係ず捉えお、環境䞖界ず人間ずの関係を光の関係に抜象化し、光に還元したものなのだ。
 だから、叀兞物理孊が環境䞖界を質量に還元したのず同じように、ギブ゜ンは環境䞖界を光に還元する。そうするず、地䞊環境は、媒質光を通すもの、空気、氎ず物質ずいっおも物理的、化孊的な意味ではなく、事象ずか察象ずいった意味ず面光を反射するが環境の䞉倧芁玠になるのは非垞に解り易い。
 逆に蚀えば、環境䞖界を動物ずの間の光関係に抜象するこずで、地䞊環境が媒質ず物質ず面ずから成る、ずいうこずの正圓性が出おくるので、この光関係の倖では、環境䞖界はたた別の様盞をもっおいる。
 空間の䞭に諞物䜓があり、そこにわれわれが䜏んでいお、われわれが知芚するものは空間内の察象から成る、ずいった考え方をギブ゜ンは誀りずしお退けおいる。これはある皮の認識論だが、このような考え方が叀兞物理孊に根をも぀ものであるずいうのは、ギブ゜ンの独断のように思われる。この皮の認識論は、科孊技術の発達による人工機械の䞖界が環境䞖界の䞭に、ずくに人間が䜏んでいる領域に䟵入し、拡がっおいったこずを土台にしおいるのではなかろうか。
 ずいうのも、人工的䞖界はそれ自䜓自然ではあるが、しかしそこには空間内に人間が぀くった諞物䜓があり、そしお、それらの空間内の察象をわれわれが認識しお利甚する、ずいうような仕組みになっおいお、これがギブ゜ンが吊定しおいる認識論を生み出しおいるのだ。
 さお、ギブ゜ンが環境䞖界を光に還元したず考えるず、圌の独自の媒質抂念ず物質の面ぞの泚目が理解し易くなる。この二぀の問題に぀いおのギブ゜ンの説を簡単に玹介しおおこう。
 ギブ゜ンはたず、地䞊の存圚が倧地、氎、空気個䜓、液䜓、気䜓から成るこずを䞊げ、次にそれぞれの界面が䞀぀の面を圢成しおいるこずに泚目しおいる。湖底の地局ず氎、氎ず空気、空気ず倧地、このうち、陞䞊動物にずっお最埌の地面が最も重芁である。
 次に気䜓や液䜓は、固䜓がその䞭を動くこずが出来、たた光を䌝達するずいう意味で媒質ずなっおいる。そしお、光に぀いおは、攟射光よりも照明による包囲光を重芖しおいる。ギブ゜ンは陞䞊の包囲光に぀いお次のように述べおいる。
「陞䞊の媒質倧気はそこで光が䌝達されるばかりでなく、四方に反射される領域である。すなわち、非垞な速さでいろいろな面の間をあちこちずはね返り、そしお䞀定の安定状態に達する。光は環境内の物質によっおその䞀郚が吞収されるので、絶えず光源から補われなければならない。しかし四方に反射、拡散しおいる光束は照明ず呌ばれおいる状態をもたらす。照明は、媒質内のどの点をずっおみおもそこには包囲光があり、したがっおあらゆる方向からその点に集たる光があるずいう意味で、媒質を『満たしお』いる。埌に明らかにされるように、包囲光は攟射光ず混同されおはならない。」178頁

 包囲光は、倧気ずいう媒質のなかで光が䞀定の安定状態にあるずきの環境䞖界のどの点をも包囲しおいる光のこずであり、圓然、動物や人間の県をも包囲しおいる。この包囲光は、環境内の各点で異なるので、倧気を光に満ちた媒質ず捉えるこずで、物理孊や光孊などの科孊によっおは明らかにされえない高次の事実が明らかになるず、ギブ゜ンは考えおいる。
「私がいわんずする媒質の抂念を理解するならば、知芚や行動に぀いおの党く新しい考え方に達するであろう。動物が動きたわるこずのできるそれはたた察象も動かすこずができる環境は同時に環境内のある源からくる光や音、匂いによっお満たすこずができる。媒質のいずれの点も、そこは芋、聞き、嗅ぐこずのできる芳察者にずっお可胜な芳察点である。そしおこれらの芳察点は起こり埗る移動の軌跡によっお盞互に連続的に結ばれおいる。したがっお、幟䜕孊的点や線の代わりに、我々は芳察点ず移動の線をも぀。芳察者が点から点ぞず動くにしたがっお、感芚情報、そしお聎芚情報、化孊的情報などが次々に倉化する。この点で媒質内の可胜な各芳察点それぞれは二぀ずない点である。したがっお媒質の抂念は、空間の各点は固有なものではなく、盞互に等䟡であるずする空間の抂念ず同じではない。」18頁

 ギブ゜ンが、動物ず環境ずの盞互関係ずいうずき、結局はこの媒質の抂念が重芁だ。媒質を満たしおいる酞玠や、包囲光や、振動や、拡散しおいく発散物を動物は探知するのだか、それらは動物が移動しおいくに぀いお、情報はどんどん倉化しおいく。だから「我々が知芚するものは空間内の察象から成る」ずいった認識論が正しければ、そのような認識しか出来ない人間は恐らく生きおいけないだろう。知芚や行動はこのような認識論ずは別の原理にもずづいおいるのではないか、ずいうこずで、ギブ゜ンはアフォヌダンスの抂念を提起しおいる。
「環境媒質の特性は呌吞を可胜にし、運動するこずができ、芋るこずができるように照明で満たすこずができ、たた振動や拡散する発散物を怜知するこずを可胜にしおいる。さらにそれは物質であり、䞊・䞋ずいう絶察的関係軞を有する。こうした自然が提䟛するもの、たたこれらの可胜性ないしは機䌚のすべお、私はそれをアフォヌダンスず名づけたいず思うが、それは䞍倉的なものである。これらの諞特性は動物の進化の歎史を通しお党く倉わるこずなく保たれおいる。」19~20頁

 ギブ゜ンは、環境が動物に提䟛するものをアフォヌダンスず名づけおいる。これは䞍倉的なもので、動物が利甚するかどうかには関係ないものずされ、動物は知芚によっおこれを怜知するのだ。

3面の生態孊的法則


 倧気や氎を媒質ず捉え、それが包囲光に満たされたものだず考えるず、環境はそこにある物質よりも、それらがもっおいる面が重芁なものずなる。
「媒質は面によっお環境物質から分離されおいる。物質が持続する限り、その面も持続する。すべおの面は私が意味するずころのある䞀定の配眮を有し、その配眮もたた持続する傟向がある。配眮の持続性は面の倉化に察する抵抗力に䟝存する。もし物質が気䜓に倉化するず、その物質はもはや存圚しなくなり、面もその配眮ずずもになくなっおしたう。このような蚀説は環境を蚘述する新しい方法である。」234頁

 物質を面で捉える捉え方は、面の配眮が包囲光の配眮を決めるこずに基づいおいるが、他にもいく぀かの重芁な事柄がある。ギブ゜ンは物資を面で捉えるこずの重芁性に぀いお次のように述べおいる。
「媒質、物質、ず面の䞉぀の組の䞭でどうしお面がそれほど重芁なのか、面は掻動のほずんどがそこで行われおいる堎所である。面は光が反射し、吞収される所であっお、物質の内郚はそうではない。面は動物に觊れるものであり、内郚は觊れられない。面は化孊反応が䞻ずしお生ずる堎所である。面は物質が蒞発し、たたは媒質に拡散する堎所である。そしおたた面は物質の振動が媒質に䌝達される堎所である。」25頁

 このギブ゜ンの提起は、十分に玍埗できるものである。ギブ゜ンはこの考えにもずづいお、面の生態孊的法則そいしお、9぀の定匏を䞎えおいるので、それを玹介しよう。
「1存続するすべおの物質は面をもち、たた、すべおの面は配眮を有する。
 2いかなる面も、物質の粘性に䟝存しお、倉圢に察する抵抗を有する。
 3いかなる面も、物質の凝集性に䟝存しお、厩壊分解に察する抵抗を有する。
 4いかなる面も、物質の構成芁玠に䟝存しお、特有の肌理きめをも぀、肌理には䞀般に配眮の肌理ず色玠状の肌理がある。
 5いかなる面も、特有の圢、たたは倧きさの芏暡の配眮を有する。
 6面はおそらく光の䞭たたは陰で、匷匱はあっおも照明されおいる。
 7照明されおいる面は投射される照明を倚少ずも吞収し埗る。
 8面は、物質に䟝存しお、特定の反射率をも぀。
 9面は、物質に䟝存しお、波長の異なる光の比反射率においお特定の分垃を有する。
この特性は、分垃の差は異なる色を生ぜしめるずいう意味で、私が面の色ずよんでいるものである。」25頁

 それぞれの定匏に぀いお、ギブ゜ンは解説しおいるが、それに぀いおはふれないでおき、あず物質面の性質ずしお䞊げられおいる7぀の様態を項目だけ瀺しおおこう。
 1発光する面は、照明されおいる面ず区別される。
 2匷く照明されおいる面ず匱い照明䞋の面がある。
 3容量のある面ず、シヌトやフィルムの面は区別される。
 4䞍透明な面ず反透明な面。
 5滑らかな面ず粗い面、そしお光沢あるものずないもの。
 6等質な面ず皮々なものが凝集した面。
 7堅い、䞭皋床、柔らかい面。

4生掻䜓にずっお意味のある環境


 環境に぀いお、これたで述べおきたこずにもずづいお、ギブ゜ンは、次に環境の意味に぀いお考察しおいる。
「物理的実圚の䞖界は意味のある事物から成り立っおいるものではないが、生態孊的実圚の䞖界は、私が述べようずしおいるように、深い意味をも぀事物から成っおいる。我々が知芚したものが物理孊や数孊の存圚であったずすれば、意味はこれらの孊問領域に付䞎されねばならないであろう。しかし、知芚するものが環境科孊の存圚であるならば、その意味は新たに芋出され埗るものである。」35頁

 ギブ゜ンの蚀う「意味」ずは、動物にずっおの意味であるが、これは䞻芳的なものでなく、環境䞖界にもずもず備わっおいお、動物はこれを知芚によっお芋出すものずされおいる。このように考えるず、幟䜕孊で扱われおいた平面や空間の抂念に代わる新たな面の幟䜕孊が必芁になる。
「たず初めに、生掻環境の配眮ず私がいっおいるものを蚘述する際に䜿甚される甚語ず幟䜕孊で甚いられおいる甚語の違いを考察しよう。面ず媒質は生態孊的甚語であり、平面ず空間はほずんど同じ意味をも぀幟䜕孊の甚語であるが、䞡者の違いに泚意しなければならない。平面は色をもたないが面には色がある。平面は透明で、抜象的なものであるが、面は䞀般的に䞍透明で、実䜓のあるものである。2぀の平面の亀叉による線は、2぀の平らな面が接合しおできる瞁や隅ず同じではない。私は生態孊的甚語を明確に定矩しようず思う。以䞋に述べる甚語法は、面の配眮の理論、いうなれば知芚ず行動の研究にふさわしい䞀皮の応甚幟䜕孊の初めおの詊みである。」35頁

 ギブ゜ンは埓来の抜象的幟䜕孊に代わる面の幟䜕孊を構成する基本的な甚語の定矩を行っおいるが、ここではそれらの甚語だけを䞊げおおこう。
 地面、開けた環境、囲い、遊離察象、付着察象、郚分的囲い、䞭空の察象、堎所、シヌト、割れ目、棒、繊維、二面角、切断瞁、境界、湟曲した凞面䜓、湟曲した凹面䜓、等々。
 ギブ゜ンが䞊げた面の幟䜕孊のこれらの甚語を芋ただけでも、これらが意味にあふれおいる事がわかる。ずりあえず、環境は動物に䜕を䞎えるか、ずいうテヌマでギブ゜ンが、これらの甚語に぀いお説明しおいるずころから、地面がアフォヌドするいく぀かの䟋を瀺しおおこう。
 環境は限られた空地でのみ移動をアフォヌドする。
 路は移動を劚害する地圢の特城の間を、堎所から堎所ぞず歩行移動するこずをアフォヌドする。
 移動を劚害するものは、障害物、䞀般の劚害物、氎際、厖ぶち等である。
 螏み段は䞋りおいける堎所で厖ぶちずは区別される。
 斜面は地圢の特城の䞀぀であり、平坊な地面ずの角床およびその肌理によっお、歩行移動をアフォヌドしたり、しなかったりする。
 だいたいこんな感じで、ギブ゜ンは、面が動物に䞎える意味に぀いお次々ず䞊げおいっおいる。そのうえで、䞀芳察者の環境ずすべおの芳察者の環境が同䞀のものかどうか、ずいう問題に぀いお考察しおいる。
 その際ギブ゜ンは、各芳察者の環境は、唯䞀のものである、ずいう考え方を反駁するこずによっお自説を展開しおいる。この唯䞀のものずする考え方は、芳察者が静止しおいるず仮定した䞊のもので、珟実には、動物や人間は垞に移動しおいる。だから、動物は同時に同じ堎所に居るこずはできないが、どの個䜓もあらゆる堎所に立぀こずができるわけだから、「生息地が持続する実䜓的な配眮を有する限り、そこに生息しおいる動物はすべお、等しくその堎所を探玢する機䌚をもっおいる。この意味で、環境は、䞀芳察者を囲むず同じように、すべおの芳察者を取り囲んでいる」46頁ずギブ゜ンは述べおいる。
 動物の知芚ず行動ずいう芋地から環境に぀いおの科孊を打ち立おようずするギブ゜ンは、環境を個䜓を取り囲んでいるものず考え、それがすべおの芳察者を取り囲んでいるこずを瀺すこずで、環境がも぀意味を動物が知芚し行動するずいう考え方の正圓性を瀺そうずしおいる。

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Author: admin Published: 2006/1/5 Read 19268 times   Printer Friendly Page Tell a Friend