2001.7.21　榎原均

　一昔前の活動家に、一つの典型がありました。それは何らかの活動を始める前に色々話し込んで仲良くなり気心を知った上で、信頼関係にもとづいて一緒に活動しよう、というパターンです。この場合、活動を始めて以降意見の対立が生まれたとき、すぐ信頼関係が裏切られた、といって喧嘩になってしまいます。運動をする前につくった信頼関係と、運動の中でつくられる信頼関係とは根本的に違うのですね。だから前者にあぐらをかいていますと、運動の中での信頼関係を形成できず、お互いに不信感のみに囚われることになりかねません。

　運動の中でつくられる信頼関係とは、個人と個人との間の信頼関係とはまた別で、それは個人と個人の間にある協同主体にどうかかわるか、というかかわり方が基礎となります。だから、個人的には全く嫌な奴だけど、運動の中ではすごく信頼できる、という人が居るんですね。大衆運動が起きたとき、そのなかで個々人に期待されている役割を果せなければ、運動の中で信頼関係をつくろうとしても無理になります。
　逆に、個人的にはすごく信頼できるけれども運動の中ではあまり頼りにならない、という人も当然居ます。そこで問題となるのは、個人的な信頼関係をどうつくるか、ということから発想を転換して、運動の中で信頼関係をどのように形成していけるのか、と考えることなんですね。

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Author: admin Published: 2006/1/5 Read 2579 times