　実は私はこの数年間、結構哲学書を読んできました。それは「新しい思考」について、他人に分かってもらえるように話しをするための学習でした。分かったことは、哲学は一人一説であり、読み継がれている哲学書は自分の興味にしたがって拾い読みをすればよい、ということであり、自分の哲学の肥やしすればよい、ということでした。
　このように考えると、哲学書の古典は実によい肥料なんですね。非常によく効いてきて「新しい思考」の枠組みをつくることができました。
　もっとも若い人なら乱読する、というのもいいし、気に入った哲学者の本を読むというのもいいでしょう。哲学書の森に分け入り、自身の哲学の肥やしにしておくと、いつか役に立つ日が来ると思います。[2002/08/29 22:16:28]

2）今が旬の心理学

　何故か私は今心理学の本を読んでいます。そこで分かったのは心理学というのは、いま旬なんですね。私は今の社会をどう変えるかという視点からしか問題を見ないのですが、驚いたのは今心理学でこの問題が議論されているのですね。60年代は哲学と経済学がこの事を考えていました。80年代には社会学ががんばっていました。今哲学も経済学も社会学もダメですね。でも心理学でこの問題が解けるとは考えられません。というのも心理学はあくまでも個人の意識を問題にしているのですね。でも社会を変えるというのは集合的意識です。これに答えを出せるような心理学の方法はありません。あれば教えてほしい。ということでやはり哲学の出番なんですね。[2002/09/05 23:46:29]

3）古典哲学の素養

　何か自慢話になりますが一言。
　私は50代後半になって、ドイツ観念論の哲学の虜になり、それまで嫌いだったカントが本当に言いたかった事が分かってきたりしたのですが、この時の哲学研究が、今の心理学研究に非常に役に立っています。と言うのもミードやピアジエやワロンといった古典的な心理学者は皆哲学に堪能で、哲学の知識が無ければ彼らの本は理解不能なんですね。そして現代の大学で心理学を教えている心理学者には哲学の素養のある人はまれです。彼らにはこれらの古典はチンプンカンプンでしょうね。哲学の効用はこんな所にもあります。[2002/11/14 00:15:16]

4）ワロンの情動論

　私は社会がどのようにして作られているかについて興味を持ちいろいろ考えてきました。
　社会契約説が一番普及していますが、人類史上の最初の社会で契約が可能だったとは考えられません。その社会には言語も発達していなかったでしょう。デュルケムは宗教が最初の社会だと主張し私もそうかもしれないとは思うのですが、彼は宗教がどのようにして作られるかについては述べていません。最近ワロンを読んでかれが、情動（エモーション）を社会の形成力と見なしている事を知りました。知はこの情動が作り出す社会性の上に乗っかっているというのです。でも言語が発達することで、社会の中で知の優位性が確立されました。というのは、情動は人に伝わりますが、それは言葉によらないのですね。言葉にすると曖昧な表現になりますから、一ランク下位のものとされてしまいます。
　情動の伝え合いを大切にする事からもう一度社会を作り直す事が問われているように思います。
　あるいは情動の果たす役割りを踏まえた知でしょうか。哲学は自己否定しないと効かないのかもしれません。[2002/12/19 23:23:29]

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Author: admin Published: 2006/1/5 Read 2538 times