　昨年（89年）1年間にわたる，東欧を中心とした「社会主義」旧体制の崩壊によって，「計画と市場」というテーマで行なわれてきた，従来の「社会主義経済学」の論議の枠組みそのものが解体されてしまった．
　だから，この問題をめぐる厖大な文献は，実践的には紙クズになってしまったのである．
　とはいえ，今日のソ連・東欧の旧体制が一体何であったのかを明らかにし，そしてペレストロイカの本質を解明していくためには，これらの文献にたちかえることが必要である．というのも，それらには，旧社会のシステムがどのようなものであったかを示す手がかりが含まれているからである．
　「計画と市場」とは，言いかえれば計画化と，商品・貨幣の存在との関係をめぐる諸問題である．だから「社会主義経済学」のこの分野での論議の大枠は，いわゆる「社会主義の下での商品生産」をめぐる諸論争を追うことによって判明する．

最初の通説，計算・分配説

　ソ連型のシステムが30年代に形成される過程で，その導きの糸とされたものが，この計算・分配説である．
　その基本的内容は次の三点に要約できる．
　（1）社会主義社会では，商品・貨幣は消滅する．
　（2）ソビエト経済の基本的な運動法則は，社会主義的計画化である．
　（3）ソビエトに存在している商品・貨幣は，計画化のための計算道具であって，資本主義社会のそれとは全く性質を異にしたものである．
　1936年に社会主義社会の建設の完了を宣言する憲法を採択したにもかかわらず，商品・貨幣関係はその後も存続していた．計算・分配説は実情に合わなくなっていた．

43年論文

　計算・分配説は，第一に，社会主義社会は非商品社会であるという，それまでのマルクス主義者の通説に従っていたが，ソ連における商品・貨幣関係の存在は，この通説とくいちがった．
　そこで，社会主義社会の建設はまだ完了していない，という正しい政治的立場に立ちかえる必要があったにもかかわらず，ソ連共産党は，マルクス主義の通説を修正する方向を選んだのであった．
　第二に，計算・分配説は，計画化を法則とみなしていたが，工業化が一段落した時点では，計画化が依拠しなければならない客観的法則性の認識が問題となってきた．
　つまり，急速な工業化をなしとげる，ということを法則の内容としていたので，それが実現されてしまうと，この説は通用しなくなったのである．
　こうして，商品・貨幣を計算の単位とみなす見解の土台がくずれさったが，そのとき，スターリンはソビエト経済には価値法則が作用していることを認めることにふみ切った．
　43年に『マルクス主義の旗の下に』に発表された「経済学の教育に関する若干の問題」とだいする無署名論文（いわゆる43年論文）で，価値法則を認める見解がはじめて公表された．
　43年論文は，計画化は価値法則の作用を利用しなければならないと述べていた．

所有説，スターリン論文

　ソ連の経済に価値法則の作用を認めるならば，次には何故商品・貨幣関係が存在しているか，ということについて解明することをせまられる．
　スターリンは『ソ同盟における社会主義経済の経済的諸問題』で，ソ連には，国家的所有と集団的所有という2つの基本的な所有形態があることに着目し，この所有形態のちがいを商品が存在している根拠とみなした．
　これは所有説と呼ばれたが，この説によれば，商品になる生産物は，国営企業とコルホーズ（集団的所有）との間で取引されるものに限られ，国営企業の生産手段は商品とはみなされなかった．
　この説は，スターリン時代には国家は農産物をコルホーズから，コストの7分の1で買いつけていたから，この関係は商品交換ではなく，収奪関係を偽装するものでしかなかった点を隠蔽するものであり，現実的な根拠を持ったものではなかった．
　だからスターリンの氏とともに，この説が国営企業の生産手段を商品とはみなしていなかった点に批判が集中し，スターリン説を否定した労働説が抬頭した．

労働説，フルシチョフ改革

　スターリンの死後，価格形成の方法をめぐって論争が起きた．急速な工業化のための資本を農業部門からくみ出すという方式に代り，形成された重工業を土台にして，国民経済のバランスを新たにつくりださねばならなかった．
　主としてクロンロードによって提起された労働説は，社会仕儀の段階にあっては，労働の直接に社会的な性格がまだ成熟してはいないことを，商品の存在の根拠とした．
　フルシチョフ改革は，今日，ゴルバチョフや，急進改革派によって，ペレストロイカの先駆とみなされるようになったが，たしかに，この労働説に依拠して経済改革を進めれば，ノーメンクラツーラの土台である官僚制は打撃を受けたであろう．
　フルシチョフ改革の中に含まれていた経済的合理性の追求という要素は，官僚制の反撃によるフルシチョフの失脚によって双葉のうちにつみとられ，ブレジネフのもとでの停滞の20年が準備される．

分離性説，65年改革

　フルシチョフ改革の残り火がコスイギンによって進められた65年改革であった．
　この時期に論点にのぼったのは，国営企業が商品生産者としてあらわれる根拠を，企業の分離性に求めることであり，従来の所有説と労働説はともにこの論点を受け入れ，それぞれの立場から分離性説を体系化していくこととなった．
　所有説から出発した分離性説は，国家的所有の内部構造を問題にし，そこにおける企業の占める位置を解明し，所有形態の相違だけでなく，占有，利用，処分，等によっても商品を生産する根拠となると主張した．
　他方，労働説から出発してきた分離性説は，労働の社会化の未成熟という点から，企業の相対的経済的分離性を説いた．
　これらの流れにおいて，価値法則の利用ということで念頭におかれていたのは，あくまでも資本家的経営を排除したうえでの，商品，貨幣関係の利用であった．形成されたソ連型システムを官僚階級が自らの支配権を喪失することなく，いかに効率的に運営していくか，という経済政策の背景にある理論問題がここにあった．
　「計画と市場」というテーマも，この価値法則の利用，という問題とセットになっており，それゆえ，非資本主義的経済を想定するという枠組みのうえでの議論であった．

ペレストロイカ，枠組の解体

　ソ連共産党がペレストロイカにふみ切った以降の「計画と市場」をめぐる論議は現在進行中である．そして，この間一貫して，実生活が理論をリードしてきた．言いかえれば，ペレストロイカを提起したソ連共産党は，それを進めてゆく際に指針となる理論を持ち合わせてはいなかった．ネップの時代のレーニンの言説から再出発せざるをえなくなったのである．
　いまペレストロイカで現実に問題となっているのは所有形態の多様化である．つまり国家的所有を解体し，私的所有や資本家的経営も含めた多様な所有形態を創出することによって，市場を形成しようということである．
　こうして実生活においては，従来の「計画と市場」をめぐる論議が前提としていた枠組がすでに解体されようとしている．
　ところで，ソ連のペレストロイカにあっては，実生活が理論に先行しているが，経済改革先進国であるハンガリーでは事情がちがっていた．次にハンガリーの場合を見てみよう．
　（ソ連の論争については詳しくは，榎原均『ソビエト経済学批判』第6・7章参照）

B，ハンガリーの経験

68年改革

　1968年，チェコの「プラハの春」が，ソ連，ワルシャワ条約機構軍の侵略によって粉砕されたとき，ハンガリーは「市場社会主義」をめざして大巾な経済改革のプランを導入していた．70年代には，この「市場社会主義」が「ソ連型社会主義」とユーゴの「自主管理社会主義」とに並ぶ，第三のタイプとして，鳴り物入りで宣伝されたことにあった．
　しかしコルナイが述べているように，68年経済改革は実はたいした成果をあげることなく終わっていたのであった．
　コルナイによれば，当時のハンガリーの国有セクターは，ソ連型モデルであり，直接の官僚的調整であった．68年改革はこれを市場的調整へと移行させることをめざし，「すべての短期指令の完全廃止」（コルナイ『経済改革の可能性』岩波書店，9頁）を実現した．
　この措置とともに導入された経済改革の重要なポイントを，コルナイは5つあげている．
「a，　利潤を増加させるための報酬が存在する．管理者の賞与や企業の福利基金が，収益性や利潤分配分にリンクするようになった．
　b，　一定の（しかしすべてではない）価格が，売り手と買い手の自由契約によって決定されるようになった．
……
　c，　生産財（原材料，部品，半製品，機会，設備，建設サービスなど）を中央機関が『配給』することはなくなった．……その代りに，生産企業と利用企業との取決めによって，配分が調整される．それとは別に，国有の卸売り企業が仲介者の役を果たすこともある．……
　d，　企業は利潤の一部を，投資目的のために留保することができるようになった．改革以前においては，投資の大部分が国家予算から金融されていた．今では，資金の大部分は企業の留保利潤と銀行借入れで構成されている．
　e，　賃金決定について，企業の自主性が拡大されてきた．それぞれの企業における賃金改訂は，部分的に収益性の変化にリンクされるようになった．雇用の行政的な割当ては存在せず，企業は雇用と解雇の自主性をもっている．」（同，11～12頁）
　これらの変化を見れば，一見して，直接の官僚的調整から市場的調整へと移行しえたかのようである．しかし，コルナイはこの移行はなされず，せいぜい間接の官僚的調整が実現されたにすぎないと見ている．

68年改革の限界

　コルナイは，国有セクターに関する6つの改革が，実際にはどのような変化をもたらしたかについて，一つ一つ検討している．
　まず，彼によって根本的な改革とみなされていた短期指令の完全廃止に関して．
　この措置にもかかわらず，「上級機関に対する企業の依存は強いまま」（同，12頁）であった．というのは，すべての国有企業のトップ3名の管理者は上級機関によって任命されており，この官僚相互間の人間関係は，短期指令と同じ依存関係を存続させたのであったというのである．
　次に利潤誘導策（a）に関しては，恣意的に働く税制のおかげで効果があがらなかった．「高利潤を獲得した企業には，金融当局によって，追加的な課税がおこなわれる」（同，13ページ）ような事態のもとでは，「もはや利潤は生産と市場における効率性の客観的な規律になりえず，企業にたいする上級機関の態度を反映するものにすぎなくなる」（同，14頁）というのである．
　さらに価格制度の改革（b）に関しては，4つのタイプの価格決定について明らかにしたうえで，それらの綜合的な関係について考察し，新制度は「あたかもひとつの恣意的な価格の組合せから，別の恣意的な組合せへと漂流しているように思える」（同，17頁）と判定している．このようになってしまう原因は，いわゆる「不足の経済」にある．「不足状態が頻繁に生じるので，代替的投入財の相対価格ではなく，その入手可能性が，購入にむける主要な基準になる」（同，17頁）結果，市場の価格形成における役割が歪められてしまっているのである．
　だから，市場の導入（c）にもかかわらず，官僚的調整は，生き残ってきたとコルナイは主張している．
　また，利潤の留保（d）に関しても，「成果は期待したほどのものではない」（同，19頁）とし，その理由として，「（1），投資プロジェクトのほとんどが分割不能かつ大規模な活動」（同，19頁）であるので，企業の留保利潤はその一部分でしかないこと，（2）「利潤がないか，あるいは僅かな利潤しか獲得・留保できなくても，企業は政府によって補助された投資資源や投資金融を受けることができる」（同，20頁）こと，（3）「完成した新しいプラントが利潤を生まなかったり損失をもたらしたりしても，免税，補助金，管理価格の引上げなどによって，補償される」（同，21頁）こと，の三点をあげている．
　これらの分析にもとづいて，コルナイは，ハンガリーの68年改革によってもたらされた国有セクターの体制を，間接の官僚的調整と規定したのであった．

80年代初頭の改革

　周知のように，ハンガリーは80年代後半に，混合経済化にむけてダイナミックな変革をなしとげるが，それを準備したものが80年代初頭の改革であった．ここでもコルナイによって，79年～82年の改革のポイントを見てみよう．
　価格体系の改革，金融規制における変化，さらには所有形態の多様化，これらが要点である．
　まず価格体系の改革とは，原価＋利潤であった旧方式の改革であった．
　「以前には，『原価プラス利潤』の価格形成原理が支配的であったため，低い生産性のゆえに世界市場価格よりも割高な場合でも，価格は受動的に費用に調整されていた．今日では，これに代わって，ハンガリー価格を交換性のある通過でおこなわれる外国貿易価格に調整させるような価格体系が，構築されなければならない．つまり，こうした価格を目標シグナルとするように企業に働きかけ，交換性通貨の国際収支改善へと企業の関心を向けさせるのである．（同，63～4頁）
　この改革の成果については，「当初の意図の一部は実現された．原材料はエネルギー源や多くの半製品の価格は，資本主義からの輸入価格に調整されるようになり，合理的な経済計算を促進している」（同，64頁）が，他方では失敗したか，中途半端に終わったこともあると主張するコルナイは，失敗の例について検討している．
　失敗を示す現象としてコルナイがあげているものは，（1），収益率が再調整され，原価＋利潤が復活したこと，（2），経営単位ごとの就役率の分散が拡大しなかったこと，（3），輸出販売と国内販売との間の収益性の乖離は維持されたこと，の三点であった．
　ここには改革の意図と，それが実現したものとの間に乖離がみられるのであるが，この乖離の原因としてコルナイがあげているのは，依然として力をもっている間接の官僚的調整と金融規制における変化である．
　ここで興味があるのは，金融規制が，改革の意図を挫折する方向でなされたことである．収益率を再調整し，価格＋利潤の体系にあともどりするために，企業は金融を利用しようとし，金融当局はそれにこたえたのであった．「かつては生産を管理する省庁が主要な交渉相手であった．今では，それが金融当局や銀行になったにすぎない．もちろん省庁にまったく権限がなくなったというわけではないが，現在では価格当局との交渉が最も実りの多いものになっている」（同，74頁）というわけである．
　つまり，新価格への移行によって，国営企業間に収益率の差が出るところを，金融的方法によって，企業間に利潤を再配分したことの帰結が，原価＋利潤の復活だったのである．
　最後に所有形態の多様化についてであるが，すでに68年改革の時点で，制限つきではあれ，私的小経営は認められていた．今度の改革では，農業だけでなく，工業や建設業でも協同組合的経営を認め，さらに私企業と国営企業ないし協同組合企業との結合形態を多様につくりだしたことである．この事態はソ連などでは地下経済としてしか存立しようのない経済活動が合法化されたことを意味しており，コルナイは，すでにこの時点で，ハンガリー経済を混合経済とみなしている．

80年代後半の改革

　ハンガリーの89年革命は，社会主義労働党（共産党）が第14回党大会において，共産主義の理念と民主集中制の組織原則を捨て，社会民主主義を理念とする新しい党へと脱皮することからはじまった．
　ポーランドやチェコスロバキアとは異なって，上からの革命を遂行しえたのはすでに度重なる経済改革によって，ソ連型のシステムが事実上解体されていたからであった．
　このソ連型システムの解体のダメ押しとなったものが，80年代後半の改革である．西村司明「いわゆる『財産関心』について」（『経済研究』1989年第二号）によって，その改革の経過を示そう．
　「まず第一に，84年の『国営企業法』修正にもとづき，85年から86年にかけて企業管理形態が抜本的に変更され，所有者機能あるいは戦略的決定権の大部分が，国家経済管理機関から，選出制の企業評議会，勤労者総会・互選指導部に移転された．この結果成立した自主管理的国営企業は，1986年末の時点で，工業企業の80％，工業従業員数の60％，工業固定資本の75％を占めるに至った．この措置の目的の一つは，戦略的決定への勤労者の参加によって，企業経営に対するその関心を高める点にある．
　第二は，86年の破産法の施行と失業手当制度の導入である．87年の失業者数は役一万に達したが，88年にその数は約三万にのぼると予測されていた．
　第三に，87年1月から銀行制度改革によって『二層銀行システム』が成立し，国立銀行が中央銀行に専門化すると同時に，5つの商業銀行が設立された．前者は，営利企業として利潤動機にもとづいて活動する後者を，金融的規制用具によってコントロールし，国家計画の実現を金融面から推進する．従って商業銀行は，優良企業，発展展望のある産業部門あるいは回収期間の短い収益的プロジェクトに信用供与するはずであるから，非効率的企業は政府補助金の廃止とあわせて倒産の窮地に追い込まれるのに対して，優良企業は信用供与を得てダイナミックに発展できることになる．
　第四に，88年1月から税制改革が実施され，個人所得税と付加価値税タイプの取引税が導入された．この目的は，税徴収の場面を生産から流通および個人へと移すことによって，生産企業に留保される利潤量の増加とその安定化をはかる点にある．
　第五に，89年1月より『会社法』が施行され，国営企業の株式会社化の道が開かれた．
　最後に，この間価格改革が実施され，自由価格への移行が推進された．」（『経済研究』89年第二号，143頁）
　西村によれば，「会社法」では，500人までの労働者の雇用を認めている（『窓』2号，西村論文，39頁）という．だから，80年代後半の改革によって，ハンガリーでは，資本市場と労働市場が法律的に公認されたことになる．共産党の解散に先立ち，ソ連型システムの解体はすでに現実のものとなっていたのである．

混合経済化

　ハンガリーの経済改革の歩みをふりかえれば，「市場社会主義」をめざして商品市場を創出しようとしたときの困難が何であるかが明白となる．
　資本家的商品市場において商品の運動を形成しているのは資本蓄積の衝動である．68年改革後のハンガリーの商品市場にはこの衝動はなかった．
　だから市場の移行しても，市場が商品の独自の運動を形成して計画化を補正するという改革派のもくろみは実現されず，逆に，官僚システムが市場を利用して，間接の官僚的調整を実現したのであった．
　たしかに市場への移行とともに，国営企業の利潤の内部留保も認められはした．しかし，国営企業の資産が資本として自己増殖運動をしていない以上，その小部分たる利潤も資本蓄積の衝動に支配されたものではなく，官僚によってコントロールされるものでしかなかった．
　そこで80年代の改革は，68年改革の中途半端さを総括し，結局は，資本蓄積の衝動（ハンガリーでは「財産関心」と呼ばれている）を形成しえていないところにシステムの欠陥がある，という結論に到達したのであった．これが80年代前半の改革後の改革派の問題意識であった．
　一連の論争がなされたものの，問題の所在がここにあることが明らかにされれば，その後の展開は一直線である．資本蓄積の衝動を形成するためには何よりも資本を育成しなければならない．商業銀行の新設による資本市場の形成につづき，89年の会社法で国営企業の株式会社化への道が開かれ，雇用労働と労働市場の形成への法的制限がとりはらわれたのであった．
　商品市場を形成しただけでは，商品が人格の意志を支配する物象化は起きなかった．部分的（国民経済の25％位を想定しているという）に資本・賃労働関係を育成し，資本市場と労働市場を形成することによって，商品市場に独自の機能をもたらせよう，ということが，89年の時点でのハンガリー社会党の目標となったのであった．

C，「計画と市場」論の限界

問題の設定

　ハンガリーの場合，経済改革が導入されるに際しては，事前に論議がなされ，共産党が決定し，法制化された．だからその改革の歴史をあとづけることは比較的容易であった．
　ところがソ連の場合，経済改革はノーメンクラツーラの掌握するところとなっていた．だから，学者やテクノクラートの論議は，直接に改革を論じてはいず，その周辺にある理論的諸問題を論じたにすぎなかった．
　とはいえ，ソ連の場合，計画化と経済改革の具体的歴史は，ハンガリーの歴史を後追いしている．それゆえ，ハンガリーの実態をふまえて，ソ連の論議を回顧すると，何故あのような議論がくりひろげられたのかが判明するだろう．
　工業化を達成した後にゆきづまったソ連型の計画化のシステムをいかにして効率的に動かすか，という見地から，商品，貨幣関係と価値法則の利用，という問題設定がなされていた．にもかかわらず，ハンガリーでの経済改革の進展は，この「計画化と市場」という論議の枠組みであった非資本主義的市場が役立たずに，資本の育成がなされてしまい，そして，ペレストロイカ5年のソ連でもそうなりつつあること，この事態をどのように総括するかが問われている．
　スターリン主義が敗北し，ソ連共産党のいでおりぎーが破産している今日，この事実を追認するだけに終始しているのが新左翼の現状であるが，そのような対応は，自らもまた，破産を宣告されていることを知るべきであろう．
　「計画化と市場」というテーマに立ちかえろう．このテーマは「社会主義の下での商品生産」説が登場することによって，プラグマティックな論旨を蔓延させることになっている．だから，問題の本質を捉えるためには，その初心にかえらねばならない．
　そもそも計画経済は，市場経済を止揚したものとして想定されていた．それゆえ，計画化とは，商品・貨幣関係の廃絶であった．ところがソ連での計画化の試みは，商品・貨幣関係の廃絶をもたらしはしなかった．　そこで，一歩後退した地平から「計画化と市場」というテーマが呼び出され，「社会主義の下での商品生産」が論議されることとなった．
　こうした事態をふまえれば，ソ連型の計画経済は，商品・貨幣関係の廃絶へとは進みえなかったことが明らかであり，そして商品・貨幣関係廃絶の実践的展望を解明することによって，ソ連の試みが何故破産したかを示すことが問われていることが理解できよう．

貨幣生成の原理

　商品・貨幣関係廃絶の実践的展望を明らかにするためには，この関係がどのようにして生成するかを知らねばならない．
　商品とは，私的労働の産物を社会に通用する社会的労働へと転化するさいに，人々の労働がとり結ぶ対象的形態である．
　この商品の概念は，諸商品の所有者たちが単一の商品で自分たちの商品の価値を表示する一般的価値形態の形成とともに現実化する．
　ところが個々の商品所有者たちは，互いに自分の商品で万物を買おうとするであろうから，その場合は一般的価値形態は形成されえず，従って，商品形態も一般化することはできない．
　ところが商品は社会的な物であり，人格の意志を支配しうるような概念的存在である．この物象は，商品所有者たちが心を一つにして，単一の商品で自分たちの商品の価値を表現すれば，諸商品は価値として関係しあえる，という本性をもっているのである．
　商品所有者たちが利己主義的に，自分たちの利益を追っていた間は，この商品の本性は実現されなかった．しかし商品所有者たちが自分たちの意志を諸商品に宿し諸商品の概念に自分たちの商品の価値を表示するという共同行為を行えば，商品の本性は実現される．
　これは物象による人格の意志に対する支配の実現であり，物象の人格化である．貨幣は，商品という物象が人格の意志を支配し，人格化したことによって形成されるのである．
　ところで，商品所有者たちの貨幣生成のための共同行為は，なるほど人格による意志行為ではある．しかし，この意志を支配しているものは商品であるから，人格にとっては，この意志行為は，自由意志にもとづく行為ではありえない．
　この意志行為は，人格にとっては無意識のうちになされるものであり，社会的な本能と呼ぶべきものに支配された本能的行為である．
　だから，商品所有者たちは，毎日，毎時間，貨幣生成のための共同行為に加わりながらも，そのような共同行為に参加しているという自己意識をもってはいない．
　実際，商品所有者達は，自分たちの所有する生産物を商品に転化するために，それが表示している価格をつける．この行為は，商品所有者たちにとっては，貨幣がすでに存在しているから，物に価格をつけて商品にする，というように考えられている．しかし，この価格をつける行為こそ，貨幣生成のための共同行為なのである．この行為が，社会的本能に支配された行為なので，それが自分たちの意志行為だと自覚されないのであり，をこに共同行為があること自体が意識されないのである．（榎原均『価値形態・物象化・物神性』参照）

過渡期経済と商品，貨幣

　仮令無意識であり，物象に支配されたものであるとはいえ，それが商品所有者たちの共同行為によって生成されるものであるが故に，貨幣は廃絶することが可能なのである．
　17年のロシア革命以降に実現された過渡期の社会にあっては，商品・貨幣関係は残存したものの，しかし，物象の人格化は起きてはいない．
　30年代に形成されたソ連型システムにあっては，資本家階級が収奪され，資本蓄積の衝動が生じなくなった結果，商品という物象が人格の意志を支配しなくなったのである．
　商品・貨幣関係は，もはや国民経済の調節者ではなくなり，国家機関による計画経済にその席をゆずったのであった．商品・貨幣関係は残存していたが，それは主として，労働者と農民への支払手段としてであった．もちろん金は依然として世界貨幣であったが，ソ連の国内では，価値尺度機能を発揮してはいなかった．商品・貨幣関係を計算の単位とみなす，計算・分配説は，こうした過渡期の経済の反映であった．
　「社会主義の下での商品生産」説が登場し，価値法則の利用が主張されるようになった50年代も，この過渡期の構造は変化してはいなかった．
　そこで問題になるのは，第一に，物象化が起きていないにもかかわらず，何故，ソ連に商品・貨幣関係が残存しつづけたのかということであり，第二に，計画経済が破産して市場経済へと後退せざるをえなかったのは何故か，ということである．
　ソ連型システムの本質は何か，ということについては多くの論議があった．しかし，それが国家的所有を中核にした計画経済であり，賃金制度が残存している，という点には議論の余地がない．さらにまた，商品経済を止揚したよりこうどな社会構成体にあっては，賃金制度も廃絶され，計画化は労働時間にもとづいて行なわれるであろうという点も了承しうるであろう．
　そうすると，賃金制度の残存が労働時間による計画化の実現を妨げており，そしてまた，それがソ連における商品・貨幣関係の残存と結びついているという回答が得られる．この回答について吟味してみよう．

国家と商品，貨幣

　生産手段が共有となり，働く人々の生産手段に対する関係が平等になれば，労働時間が富の尺度となりうる．
　ソ連型システムの場合，主要な生産手段は国有であり，これを管理するものは国家機関である．国家機関は共産党の手に握られており，それらの人的担い手である官僚はその内部にノーメンクラツーラと呼ばれる特権層をかかえこんでいる．
　この特権層が，その地位を利用して労働者を搾取してきたことについては，最近になって，ソ連共産党の各分派も認めるところとなっている．
　ところでこの特権官僚が労働者を支配する手段が政治的・イデオロギー的支配であり，その具体的形態が賃金制度にもとづく労働の階層制であった．この階層制によって，特権官僚は労働者の中に官僚制をもち込み，労働者を役人化させたのであった．
　まさにブレジネフ時代は，ソ連社会全体が官僚制化された時代とみてよいであろう．そしてこの時期の経済改革が，価値法則の利用というスローガンをかかげながらも，決してそれを実現できなかったこともいまや明らかとなっている．
　商品・貨幣関係が残存しているもとで，価値法則の利用が意図されながらもそれが実現されなかった，ということは，商品が人格の意志を支配してはいなかったこと，物象の人格化が起きてはいなかったことを示すものである．
　そうすると，商品・貨幣関係の残存は，社会全体の官僚制化と結びついていると見る他はない．そこで，もう一つの問題が出てくる．商品・貨幣関係が残存していても，物象化が起きなければ，貨幣は価値尺度機能を担えなくなる．だから，ソ連では，国家機関である計画当局が，貨幣の価値尺度機能を代行していることになる．
　ここで，商品・貨幣関係がどのように生成するか，ということが想起されるべきである．商品所有者たちの無意識のうちでの本能的共同行為が貨幣を生成させるとするならば，これに，政治的，法律的，行政的に干渉しようとしても，限界があることは自明である．なぜなら，無意識の領域にある行為を，意識では統制しえず，そして，政治的，法律的，行政的行為は，意識の領域にあるものだから．
　いまやソ連の計画経済の総括を語るべきときである．国家機関による計画化の試みは，貨幣生成の共同行為に干渉し，物象化を妨げることができるが，しかし，商品・貨幣関係の廃絶へとは進みえず，計画化の主体が貨幣の価値尺度機能を代行しうるにとどまる，と．
　計画化の試みが破産し，市場経済へと後退しつつあるソ連の過渡期社会が，もしものを言えたとすれば，このように語るのではなかろうか．

論争の根本的欠陥

　ソ連で実施されようとしてる市場経済化は，本質的には，国家機関の手にあった価値尺度機能を，貨幣のもとに返すということに他ならない．
　国家機関が貨幣の代行者としてあるような計画経済は商品・貨幣関係を廃絶しえないだけでなく，資本主義世界との競争にも敗北する，という現実に直面し，ソ連・東欧の社会は激動期のただなかにある．
　そして，すでに指摘したように，この現実の歴史の進行によって，「計画と市場」をめぐる論争の枠組みそのものが解体された．
　ここでは計画化の新地平をさぐるという見地から，この論争の限界を指摘しておこう．
　第一に，商品，貨幣の生成の原理が把握されていなかった結果，それらの廃絶の実践的展望が明らかではなかったことである．ここから，計画化が進めば商品・貨幣関係は自ずから消滅すると見る初期の通説が生れた．
　第二に，国家機関による計画化が，貨幣の価値尺度機能を代行するものでしかありえないにもかかわらず，このレベルの社会を社会主義社会と規定したため，そこに必然的に残存している商品・貨幣関係を「社会主義の下での商品生産」とみなし，計画化を価値法則に従わせようという政策を生んだ．50年代以降の論争は全て，この政策との関連でなされているが，価値尺度機能を国家が施行している以上，価値法則は作用してはいないことを明確にすべきであった．そうすれば，国家機関による計画化の限界，官僚制の解体，国家的所有の社会への返還，民主主義の止揚といった課題が明らかになっていたであろう．
　第三に，市場による計画化の補正という試みは，貨幣の価値尺度機能の復活なしには現実化しない．そして結局は，資本の復活による混合経済化を通しての貨幣の価値尺度機能の復活という道が，歴史上の現実となりつつある．その際計画化自体は出来あいの国家機関による計画化を不可侵の前提としていたことが問題であろう．

D．オルタナティブの計画化

本能的共同行為への干渉

　計画化の主体が国家機関である限り，それは貨幣の価値尺度を代行しえるだけで，商品・貨幣関係を廃絶しえないこと，このことが明確になってくると計画経済のモデル自体の再検討が必要となってくる．
　その際にまずもって，商品・貨幣関係廃絶の実践的展望を明らかにすることが問われる．
　貨幣生成のための無意識的な本能的共同的行為を意志によって統制しようとする試みが，貨幣の価値尺度機能の代行を実現しうるだけであるとすれば，その他の方法が考慮されねばならない．
　そこで，本能的共同行為を意志によって統制する試みについて，もっと立ち入って考察しよう．
　例えば，計画当局による価格決定は，商品生産者たちである個々の企業が，自らが生産した商品の価値を貨幣金で表示するという共同行為を妨げる．商品の価格はその価値から乖離するが，このことは物象による人格の意志に対する支配が断ち切られたことを意味する．
　ところが計画当局が国家機関である限り，所有の基本的形態は国家的所有となり，直接的生産者は国家を媒介にして生産手段と結合することとなる．
　この場合，個々の生産者の集団（企業）の労働は直接に社会的な労働になってはいず，それは国家を媒介にして，はじめて社会に通用する労働となる．
　以上から，物象化が起きていず，したがって，貨幣生成の共同行為が妨害されているソ連で何故，商品・貨幣関係が残存しているかが明らかとなる．
　国家は個々の企業の労働生産物を媒介してそれを社会的労働とする機能をもつ限りにおいて，価値尺度の機能を担い，そうすることによって，商品所有者たちがなさねばならない本能的共同行為をも代行する．
だから，ソ連の論争において，企業の分離性を商品生産の原因とする見解が生じたのは，この現実の反映である．
　だが，分離性説は，原因と結果をとりちがえている．商品生産の原因は，国家的所有と国家による計画化の方にあり，企業の分離性は，その結果である．
　ところで国家機関による計画化は，貨幣の価値尺度機能を代行し，そうすることによって，商品所有者たちの本法的共同行為をも代行するのであるが，この代行によって，国民経済が成長していく限りは，社会の同意を得ることができる．
　ソ連の場合，この代行は結局は社会の経済発展における停滞をもたらした．その結果，貨幣生成の本能的共同行為が復活しようとし，国家機関は計画機能を放棄することをせまられようとしているのである．

商品，貨幣の廃絶の道

　結局，国家的所有を土台にした国家機関による計画化は過渡的措置であるにすぎず，それは生産手段の共有にもとづく直接的に社会的な労働を実現していくテコとして利用することができなければ，商品・貨幣関係の復活へとむかわざるをえない．
　では，前者の道はどのようなものであろうか．それを計画経済の新たなモデルとして設計することは可能であろうか．
　貨幣生成の本能的共同行為を廃絶するもう一つの方法は，それを直接意志によって統制するのではなく，本能的共同行為をしなくてもよい諸条件を形成するという迂回的なものである．
　この場合，例えば国家機関による計画化のように，貨幣の力の代行をすることによって，共同行為を封じ込める，というのではなく，商品・貨幣関係よりよりレベルの高い経済的関係を形成することによって，本能的共同行為をすたれさせるのである．
　単に代行しているだけでは，そのシステムはレベルが高いものとはみなせず，代行機関の意義は，それが過渡的な役割を果たせているかどうか，というところに存在する．
　そこで，協同体や協同組合について検討しよう．協同体の場合，その内部で，商品・貨幣関係を無くすことは可能である．しかし，それが資本主義世界と交渉する限りは，商品生産者としてあらわれざるをえない．
そして，この関係に規定されて，協同体の内部には，貨幣の価値尺度機能を代行する個人が必然的に形成される．当初は集団で決定されていた事柄が一人の個人によって，決定されるようになる傾向が存在するのである．
　協同組合の場合，それが消費生活協同組合である限り，商品・貨幣関係の廃絶とはかかわりはなく，それが生産協同組合と結びつき，協同組合セクターとして地域で一定の勢力をもつ限りで検討の対象となる．
　ソ連で，従来協同組合の典型とされていたコルホーズが，いま，本来の協同組合ではなかった，とされているように，協同組合についての規定が見なおされつつある．そのばあい，ソ連では資本的経営の機能を内包したものまでも協同組合の範疇に加えている．だから，地下経済と結びつき，暴利をむさぼる協同組合企業が雨後のタケノコのように成長し，住民の反感を買っている．
　これに反し，東欧諸国では，協同組合は，ソ連＝共産党＝農業集団化，という眼で見られ，資本主義化をめざしている人々の間では人気がない．
　このように協同組合をめぐる議論は混沌としているが，ここでは計画経済のモデルとしての協同組合的社会をとりあげよう．

モンドラゴン　モデル

　協同組合的社会という未来像は流行している．だが過去の共産主義運動の総括にもとづき，今日の実践を導く指針としてその未来像が提起されているわけではない．ソ連型に代わるオルタナティブなモデルとして，なんとなく期待されているというのが現状であろう．
　いま，ここで，マルクスやレーニンの協同組合論について論じるのはやめておき，地域を協同組合的社会へと組織しえた例として，スペインのバスク地方にあるモンドラゴン協同組合の特色を検討しよう．
　モンドラゴン協同組合群の特徴は，生産協同組合が中軸になっていることである．そして個々の生産協同組合が，その活動の初期から，自前の金融機関である労働人民金庫（CLP）を協同組合として組織し，それが傘下の生産協同組合の経営指導に当っていることである．
　その他にも種々の特徴があるが，それらについては文献（『モンドラゴン』御茶ノ水書房）にゆずり，ここでは協同組合的社会における金融機関の意義について考察しよう．
　労働者生産協同組合の試みはずい分古くからあるが，それらが消費生活協同組合の場合のように成長しなかった理由として，出資金が高くつく，ということの他に，生産協同組合の場合，高収益が出ると，それを機関にふりむけずに組合員の間で分配してしまいがちだということがあげられてきた．
　資本が蓄積衝動をもち，労働者を相対的に窮乏化しつつ自己を増殖していくのに対し，生産協同組合の方は，こう蓄積を実現しえないので，資本との競争で敗北してきたのである．
　モンドラゴンの場合，個々の生産協同組合があげた収益を，組合員に分配する場合，それの持分を決定するだけで，蓄積して資本として機能させる方法を，CLPのもとであみだすことができた．
　生産協同組合の場合，組合員は出資者（資本家）であると同時に，労働者である，という二重性をもつが，CLPによって，資本家としての機能を協同組合の労働者に植えつけることに成功し，そうすることによって，協同組合的地域社会を形成することを可能にしてきたのであった．
　これは多様な側面をもつモンドラゴン協同組合の一面にしかすぎないが，ソ連の国家機関による計画経済の試みが破産したこととの関連で考慮すると，これが重大な問題提起をしていることがわかる．

協同組合的社会

　ソ連型モデルをモンドラゴンにもち込むとすれば一体どうなるだろうか．それは多分，協同組合に支持された議員が地方議会で多数をとり，自治体を掌握して，自治体が，計画経済の主体となる，という構図になるであろう．この場合は自治体が計画と管理の機関を形成し，各協同組合企業や，自治体直轄の企業を指導する，ということになる．
　ソ連型システムの愚劣さは，このような移しかえをしてみればよくわかる．今度は逆に，モンドラゴンモデルをソ連にもち込めばどうなるであろうか．
　ソ連には商業銀行はなく，発券銀行しか存在していないが，まず，銀行の改革が必要であろう．その際に，各国営企業や協同組合企業が出資して，協同組合として，商業銀行の機能をもった金融機関を形成し，各企業の出納と簿記をこの金融機関に集中するのである．
　この協同組合金庫は，各企業を金融的に結びつけることによって，金融的方法で，各企業を指導することが可能となる．この体制は，モンドラゴンがそうであったように，資本主義世界の蓄積に負けない程度の蓄積を実現するであろう．
　さらにこの体制は，国家機関を経済の計画と管理の仕事から解放し，官僚の特権の土台をくずすであろう．政治の民主化が実現され，資本家のいない協同組合的企業が，資本主義世界との競争に対応してゆけば，このシステムは，過渡期における労働者階級解放の任務をしっかりと担えるであろう．
　協同組合的社会という場合，このようなレベルでの構想力が必要である．

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Author: admin Published: 2006/1/5 Read 6058 times

計画経済の可能性 「計画と市場」論を超えて

A．ソ連における論争

はじめに