　最初は、世界各地で行われている地域通貨の調査研究がメインになると思っていたのですが、キョートレッツ会員が直面している具体的な問題についてかかわることにした結果、自給ネットでどのようにして地域通貨を導入するか、というテーマと、大阪でレッツを始めるにはどうすればいいか、というテーマが与えられるようになりました。自給ネットについては、11月7日の午前の事務局会議と、その夜行われる自給ネットと合同の研究会で、11月18日予定されている自給ネットの収穫祭の場でのレッツ市の企画が決定されることになっています。研究プロジェクトとしては、何割かでも地域通貨で野菜などが買えるような店を出したいと考えています。

　大阪の方は、10月11日に天人（アマント、大阪中崎町、梅田より歩いて15分、町屋を利用したイベント・サロン）で最初の勉強会があり、調査研究プロジェクトから、橘さんと境が参加しました。この日は、5時から「エンデの遺言」のビデオを見た後、研究プロジェクトの方から、キョートレッツの経験を報告し、そのあとゲームをやりました。参加者は16名位でしたが、キョートレッツのメンバーが7人、（うち2人は大阪でのレッツたちあげの勉強ということもあり、キョートレッツに入会した人たちです）あと残りのメンバーはニュースタートやフリーターズ・ネットワークの若者達で、神戸から参加された2名の方と、アマントの関係者である1名の方を除いて、皆知り合いでした。

　11日の勉強会が終わった後、私は、キョートレッツと同じ方式でやろうということなら、すぐメンバー登録を始めた方がいいのではないかと助言し、その方向で準備がなされ、10月29日に開かれた第2回勉強会でレッツたちあげの準備のための事務局メンバーを選出するとともに、仮の入会申込書でメンバー登録を始め、11名の登録がなされました。

　このあと、11月には9日と30日の午後6時から、天人で事務局会議、11月11日には天人にて午後4時からの「星の市場」での勉強会に参加、そして午後6時より、大阪のレッツ市の開催という予定になっています。

2）レッツ導入が直面する課題

　大阪でのプロジェクトにかかわって見て、色々見えてきたことがあります。これを図式で考えてみました。まず、大阪の全エリアにまたがる平面の円（A）を描いてみます。これが大阪のレッツです。次に、大阪には天人やニュースタートやフリーターズ・ネットワークといった拠点があります。これらは、それぞれ内部で財やサービスを循環させていますので、先の平面の円にリンクしたタテの円（B）として描けます。さらにこららの拠点のメンバーはそれぞれ横のネットワークを持っていてこれを先の平面の円にリンクした小円（C）として描きます。最後に天人のJUNさんがライフワークとしている中崎町の町おこしで、これは地域づくりということで、拠点の円とリンクした平面の円（D）となります。

　ここに図が入ります。ご期待ください！！（少々時間が……HP管理者の独り言）

　こういう図を描いたのは、（A）から（D）に到る円で地域通貨を実施しようとするとき、それぞれ異なった課題に直面することが判明したからです。

　（A）でレッツを始めるのは簡単です。レッツを始めたい、という人たちが集まって、事務局をつくり、運営すればいいのです。というのも、もともと（A）に集まるメンバー間では、ほとんど財とサービスの交換がなかったので、抵抗は少ないのです。

　ところが（B）の拠点の場合、有償でやっているか、無償でやっているかは別にして、ある種の事業があり、そこでは、財とサービスの循環がなされています。ここにレッツを持ち込もうとするとき、現行のシステムを変更しようとすることになりますから、当然、ノイズや抵抗が生まれます。従って、これらに対する回答が準備されていなければならないでしょう。

　さらに（C）の場合、拠点を軸にして何らかの形での事業的つながりをもっています。ここでも事業的には何も関係のなかった（A）とはちがって、さまざまな異論が出されることでしょう。

　最後に（D）ですが、これは、（A）、（B），（C）がレッツを採用することでうまくまわっている、という現実がなければ導入を説得することはできないでしょう。

3）レッツ導入の手順

　このように図式化してみますと。レッツ導入をどのように進めていくかが見えて来ます。いま、地域通貨はマスコミで取り上げられていますので、（A）から（D）に到るあらゆる場面で話題になっており、地域通貨をつくりたい、という欲求をもった人々が大勢生み出されています。でも、（B）、（C），（D）では解決すべき課題があるにもかかわらず、それが見えないことで、やろうやろうと言いながら、やれないケースが多いのです。

　それで、まず賛同者が横につながれる（A）を立ちあげることが大切だ、ということになります。（A）でレッツをたちあげれば、それはある種の「貨幣」共同体として機能し、日銀券を使わずに財やサービスを交換するという得難い経験を獲得できます。そして、この経験をすることで、従来は見えていなかった（B）、（C）、（D）での解決すべき課題が何であるか、ということが見えてくるようになるでしょう。

　私としては、大阪では（A）は立ちあがったので、（B）と（C）にどのようにしてレッツを導入するかについての研究プロジェクトを大阪で始める、というときには協力しようと考えています。（D）についてはもう少し時間がたち、（B）と（C）でのレッツ導入のあと、研究を開始していくことになると思われます。（2001年10月30日）

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Author: admin Published: 2006/11/27 Read 2159 times