　第一回　　「奉仕活動の展望」　168名
　第二回　　「70年代と青年」　134名
　第三回　　「社会変動とボランティア」　134名
　第四回　　「地域社会づくりとボランティア」　136名
　　＊　ここまでは思考錯誤の時期
　第五回　　「ボランティア活動の今後」　157名
　第六回　　「問い直そう　われわれの姿勢と運動」　280名
＊活動という言葉に代わって運動という言葉が使われた。
　第七回　　「生きる原点からの再出発　私のボランティア活動とこれから」　280名
　第八回　　「市民としての自立をめざして」　250名
　第九回　　「市民としての自立をめざして　知らぬまに人の暮らしを侵していなかったか」　280名
　第十回　　「地域の文化をどうつくるか」　380名
＊ 6回から10回まで生活課題や活動の運営の課題が中心。地域のあり方、自分の生き方ボランタリズムの問い直し。課題解決型のボランティアが中心。
　第十一回　「時代をきりひらく子どもたちへ　何を伝え何を残していけばいいのだろうか」　360名　（1980年）　
　第十二回　「続　時代をきりひらく子どもたちへ　何を伝え何を残していけばいいのだろうか」　365名
＊ 1981年は国際障害者年　障害者の参加も増える。
　第十三回　「いのち・人権・ボランティア」　386名
　第十四回　「くらしの再生と創造を目指して　地域・活動・世代を超えて」　422名
　第十五回　「ともに暮らしあうための知恵と工夫」　431名
＊ボランティアとして従来の暮らし方ではなく、新しい価値観と方法を探ろうとした。
　第十六回　「地方からの発信　知恵の輪・自由自在」　543名
＊行政がボランティア活動に積極的になる。
　第十七回　「『私』をみつめると、そこは自由・創造空間　雪の永平寺から宇宙をつくる」
　第十八回　「知恵の樹、そして生命の杜へ　日本の屋根から未来への旅立ち」　1028名
＊ネットワーキングの考え方が出てくる。もう一つの日本。
　第十九回　「多発・多元・多重するネットワーキング　翔んでつながれ想像力」　872名
　第二十回　「座標・羅針盤・そしてここから私から　神話と太陽と緑の国から時間差旅行」　908名

(2)　『ボランティア白書』のタイトル

　1990年版　　「ボランティアのニューウエーブを探る」
　1992年版　　「社会奉仕から社会創造へ」
　1995年版　　「ボランティアライフ新時代」
'96～'97版　「自分を変える、社会が変わる」
　1999年版　　「わたしたちがつくる新しい公共」
　2001年版　　「責任を共にする未来社会のデザイン」
　2003年版　　「個がおりなすボランタリー社会」
　2005年版　　「ボランティアのシチズンシップ再考」

２）ボランティア論

(1)　ボランティアの分類　堀田　力

　「一つは志願兵、もともとボランティアが発生したイギリスでの志願兵、自警団という系統のボランティア。二つ目が、同じくイギリスやアメリカで発生した、ノーブレス・オブリジェと言われる、これを私は縦型のボランティアと呼んでいるのですが、いわゆる救貧思想です。貧しい人を救うというボランティア。三つ目が、これはボランティアという言葉ができる以前からどの社会にも存在した、『お互い様』という横の関係での助け合い、私はそれを"横型のボランティア"と呼んでいます。」（『窓』20号、55頁）

　一つ目は有償、日本では青年海外協力隊にあたる。
　二つ目は無償奉仕、人を助けてあげるという考え。
　三つ目はお互い様で必ずしも無償にはならない、堀田はこれを進めようとしている。
　従来日本ではボランティアについて、自発性、奉仕性、公益性の三原則がうたわれてきたが、これは縦型にはなじむが、志願兵や横型にはなじまない。

(2) ボランティアの歴史　興呂　寛

　60年代に入って言葉が普及し始める。
　70年代直前から市民運動が台頭し、ボランティア＝市民運動というように概念が拡張される。
　70年代に学校教育でボランティア学習の導入が始まる。
　70年代後半には世界はNGO萌芽期を迎える。
　80年代には「社会を変えよう」や「人のため」から「生きがい」や「もう一つの人生」といった内的動機が重視されるようになる。
　90年代になると企業の時代となる。経団連が「一パーセントクラブ」を作る。「自分の発見」とか「自己実現」へ。ボランティアブームは企業と国のイニシアティブによるが、これは外圧が原因。

(3) 白書2005年版　松尾論文「ボランティアのシチズンシップについての歴史的検証」

＊　1945年～1960年　ボランティア活動の胎動

　YMCA、YWCA、ボーイスカウト、ガールスカウト、ユネスコ運動、４Hクラブ、ユースホステル運動など。他にホームヘルパー派遣（家庭養護婦派遣事業）もはじまる。

＊ 1960年代　ボランティア活動推進機関の設立

　草の根的な活動から、組織の確立へ。60年富士福祉事業団、65年大阪ボランティア協会、67年日本青年奉仕協会、62年の善意銀行は社会福祉協議会ボランティアセンターの母体、70年代には国庫からの補助がなされるようになる。

＊ 1970年代　新たに生じてきた課題への対応

　公害、過疎・過密化、コミュニティの解体、人間関係の希薄化が起きる。食べ物や環境課題を抱えた市民運動の登場。障害者の主体性の発揮、自立生活へ。71年いのちの電話。

＊ 1980年代　国際的な活動の展開

　70年代末のインドシナ難民救援活動は日本国際協力NGO史における転機。日本国際ボランティアセンターの設立。85年東京シューレなど不登校の子どものフリースクールはじまる。学校教育でのボランティア学習の開始。ワーカーズ・コレクティブ運動の開始。83年ピースボートはじまる。

＊ 1990年代　ボランティアの認知とNPO

　企業の社会貢献の取り組みが大きく進む。95年震災でボランティア元年。災害ボランティア団体の誕生。98年NPO法の制定。90年代後半、さまざまなサポート組織の誕生、行政の関与が増える。他方環境NGOが台頭した。92年地球サミットではじめて環境NGOが集まる。97年COP３（気候変動枠組み条約締約国会議）。
　この他、90年ささえあい医療人権センター発足。95年子どもの虐待防止ネットワーク。98年移動サービス市民活動全国ネットワーク。98年犯罪被害者会の全国被害者支援ネットワーク設立される。99年ころから地域通貨の取り組みはじまる。

＊ 2000年～　シチズンシップ再考のとき

　行政の活動促進策が進む。生涯学習センター、女性文化センター、図書館、博物館、美術館、動物園などの社会教育施設におけるボランティア活動の推進。2000年教育改革国民会議が奉仕活動の義務化の提起。高齢化社会を迎えて、行政がボランティアに代替機能を求めてきている。

＊まとめ　ボランティアが生み出した市民的価値

「(1)　私たちが恩恵を受けているさまざまな社会制度の原型を生み出している。
(2) 公的セクター、企業セクターとともに、私たちにとって欠かせない社会サービスを提供する非営利・市民セクターを確立する基盤をつくっている。
(3) （物質的ではない）豊かな生き方、人とのつながり方やそれを実現するための社会のありようを提示し、実践につなげている。」(29頁)
　「ボランティア活動の本質は、余った時間を流動的に、または便乗的に国や社会のために奉仕するという人間生活の付加(付属)価値だけでなく、一人の市民としての生き方に関わる人間生活の基本価値であることを忘れてはならない」(枝見静樹からの引用、30頁)

３）今日のボランティア活動への危機意識

(1)白書2005年版　村上論文「ボランティアのシチズンシップを再考する」

＊今なぜボランティアの市民性を問い直さなければならないのか

「日本は今、みんなが無責任な時代に入りつつあるのではないか。どんどん戦争に突き進んでいった戦前の状況に似ていないか。民主主義は、日本で本当に成り立っているのか。ボランティアは、民主主義を支える基盤だが、それほど広がっていない。」（9頁）

「非政治的なボランティアのイメージが行政主体で普及されたなかで、イラクで日本政府に批判的な日本人ボランティアが人質になったとき、大きなバッシングが起きた。
　現実として、ボランティア活動と民主主義とは全然つながっていない。多くのボランテリア活動は体験、勉強、癒し、居場所などの自分の人生の生きがいにとどまっている。
　政治的要素を排除されたボランティア像が幼少期からつくられていくとどういう影響があるか、こわい気がする。いまは多くの人が学校という公的機関を通してボランティア活動の体験をしている。」（9頁）

＊これからの市民社会に求められる市民性とは

「(1)何か小さな政府、公益の市場化、地方分権が、公共を支えるのは誰かという問いを市民、行政、企業に投げかける。
(3) 物質的な豊かさと情報化が進むなかで、市民はあらゆる局面で主体的な選択を迫られる。
(4) 少子高齢化社会が新たな支え合いの社会システム構築を迫り、市場優先の資本主義がもたらす貧富の格差拡大や環境破壊等々の弊害が、市民社会に競争ではなく共存の原理による社会規範の確立を迫る。
(5) 議会制民主主義の機能低下は、市民に政治的な社会参画を迫る。
(6)グローバリズムの拡大は、さまざまな社会的な局面でグローバルスタンダードを要求する一方で、多発する民族・文化・経済などの摩擦への対応を市民に迫る。」（10頁）

　こうした社会情勢に応じるために市民に求められるもの、市民公益性、自立性と自律性、市民的倫理性、政治性、多元的共生性である。

＊ボランティア活動の現状から見た日本人の市民性
＊有償性とボランティアの自立性・自律性
＊学校教育によるボランティア体験は市民性を育んでいるか
＊多くの人が「ちょぼら」を肯定的に見ている現実
＊ボランティアは国家の意思を超えることができるのか

４）ボランティア活動と協同組合

　ボランティア活動はそれ自体で自足しているものではなく、他の社会システムとつながっている。ここでは協同組合とのつながりについてアウトラインを描いておく。

　ボランティア活動は行政や企業とのつながりを持つが、協同組合の場合は当然つながり方が違うだろう。行政の場合は、企業での働き手の働き方には何の注文もつけず、企業のフィランソロピーや労働者の余暇時間でのボランティア活動に期待している。しかし、今日の企業での働き手の働き方に問題があるからこそ、今日のいろいろな社会問題も起きてきているのではないのか。そして働き手に今日の特有の働き方を強制しているものが資本の論理であり、企業の論理ではなかろうか。だから企業のフィランソロピーや労働者の余暇時間でのボランティア活動にのみ注目することは、企業や行政には従来通りの機能を期待し、それが社会の安定という点で機能不全に陥っているということに関しての問題の解決を、個人の余暇時間に期待するということであり、企業や行政にとっては責任回避となるのではなかろうか。

　この意味で協同組合の中でも働き方を変えようとしている働く人達の協同組合に期待がかかる。私達の活動を踏まえたボランティア活動とのつながり方について次に提起しておく。

５）ボランティア活動についてのスローワーク協会の態度

(1)　ボランティア活動とは何か

　ボランティア活動については3種類に分類できます。
　一つは志願兵で、現在では青年海外協力隊がそれに当たり、基本的には有償です。
　二つ目はノーブレス・オブリジェの系譜で貧しい人を救うというボランティアです。これは無償奉仕が原則で、人を助けてあげるという考えに基づいています。
　三つ目はお互い様という横の関係での助け合いで、必ずしも無償奉仕にはならず、普通に有償ボランティアといわれている活動です。

(2) 今日必要とされているボランティア活動

　今日一般社会で必要とされているボランティア活動は、NGOなどの国際ボランティア、高齢者介護のボランティア、災害ボランティアなどさまざまです。これに対して協会の周辺で必要とされるボランティア活動は、社会的に不利な立場の人をサポートする、というミッションと、事業を協同組合的に経営することをサポートするという二つのミッションに限られます。

(3) 社会的に不利な立場の人のサポート

　社会的に不利な立場の人をサポートするといっても二つのやり方があります。一つはサポートする側とされる側を固定化し、人を助けてあげるという二つ目の活動に含ませるやり方です。もう一つはサポートする側とされる側という固定化をせず、お互いに足りないところを補い合うという考えに基づくもので、どちらかといえば三つ目の活動と捉えるものです。協会のミッションからすれば後者の立場が望ましいでしょう。

(4) 協同組合的な事業のサポート

　地域にとって不可欠であるにもかかわらず、営利事業としては成立しないような、いわゆるコミュニティビジネスを、協同組合的な事業として立ち上げて経営していこうとするときに、ボランタリーな活動は不可欠です。協同組合的な事業も事業である限り、そこで働く人が生活していけるようなものでなければなりません。でも事業が立ちあがった時の数年間は充分な分配が出来るとは限りません。そのようなときに少し時間の余裕がある人達の応援はコミュニティビジネスを発展させていくための鍵ではないでしょうか。シニア世代や学生の関われる活動として、有償ボランティアの参加を促進できるようなシステムを作り出すことが問われています。

(5) ボランティア活動促進のために

　このようなボランティア活動の位置付けに基づいて活動の促進を進めるためにはまず、協会の二つのミッションを明文化し、それに基づいて、職務に応じたボランティア活動の受け入れシステムを組み立てることが必要でしょう。それぞれの事業部での具体化を望みます。

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Author: admin Published: 2006/8/3 Read 5164 times

研修講座第二回 ボランティアとは何か

１） 日本におけるボランティア活動の歴史

(1) 全国ボランティア研究集会のテーマと参加者数 （1970年にはじまる）

(2) 『ボランティア白書』のタイトル

２） ボランティア論

(1) ボランティアの分類 堀田 力

(2) ボランティアの歴史 興呂 寛

(3) 白書2005年版 松尾論文「ボランティアのシチズンシップについての歴史的検証」

＊ 1945年～1960年 ボランティア活動の胎動

＊ 1960年代 ボランティア活動推進機関の設立

＊ 1970年代 新たに生じてきた課題への対応

＊ 1980年代 国際的な活動の展開

＊ 1990年代 ボランティアの認知とNPO

＊ 2000年～ シチズンシップ再考のとき

＊ まとめ ボランティアが生み出した市民的価値