　生産者協同組合サポートセンターの準備会に取り組んでいます。いずれ呼びかけ文書が公表されるでしょう。それに先だって、準備過程で色んな事が判明しましたのでお話しておきましょう。先に地域通貨の立ち上げのときの期待とそれが裏切られたことについて書きましたが、ワーカーズコレクティブ（生産者協同組合）についても同じ事が起こり得ます。ワーカーズコレクティブはこんなにいいものだ、こんな楽しいものだ、こんなに正しいことが実現できる、こういった期待は過大に持たない方がよいでしょう。

　もともとのワーカーズコレクティブは、日常生活のなかの労働によって生活の糧をかせぐ、という経済行為を、雇われる事によってではなく、自分で出資し、事業の経営と管理を含んだ労働を集団でやろうとする試みです。仕事が取れなければ大変だし、うまくいっても競争相手が現れるし、実は苦労が多いのですね。

　この苦労も、雇われている時の苦労とは違って自己実現という要素が大きくなっていますから、感じ方は異なるのかも知れませんが、しかし、いま、私たちは、色んな理由で正社員になったことがない人たちを迎え入れようとしているのですね。そうだとすると、夢はほどほどにして、自分達はワーカーズコレクティブ方式で働き方を変え、仕事作りをしていくしか生活のめどが立たないという発想を大切にしなければならないことになります。

　いま、日本では相当数の人たちが、生活を続けていく上で、このような状態にいると思われます。しかし、ワーカーズコレクティブという新しい発想は、まだ社会全体に認知されてはいません。だから大勢の人たちはどうしていいかわからない。
　結局はモデルケースが必要だ、ということになります。ワーカーズコレクティブという集団での事業が、個人経営や大企業に対しても競争で負けない、ということが一つでも実例として出現すればそれが呼び水となっていくでしょう。

　「夢はほどほどに」というのは、つい夢にひたってしまう私自身への自戒の言葉です。夢にひたってしまう人は本当に少なくなっているような気もします。ですから他方で「もっと夢を」とも言いたいですね。

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Author: admin Published: 2006/1/5 Read 2814 times