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23.こぼれ話(その15)サポートセンターの組織活動


23.こぼれ話(その15)サポートセンターの組織活動


1)情報の集中と責任の分散


 組織をつくったのに、一部の人たちが以前より忙しくなるという事態が起きれば、これは困ったことです。これは、組織の機能が一部の人に集中した結果起きることですね。10人くらいの集団でしたら、一人の人に事務を集中させておく方が能率的ですが、これが100人の集団になったらどうでしょうか。一人では事務を担えなくなって、パンクしてしまうに違いありません。
 組織をつくるということは、本来こうした事態を避けるためでした。
 生産者協同組合サポートセンターは、会員が自主的にワーカーズ・コレクティブを設立していくことを目的としていますが、このような組織はどのように運営していけばよいのでしょうか。
 私は情報を集中し責任を分散化することが必要だと考えます。言葉を変えれば事業と運動に責任を負うメンバーを増やそう、そして皆で情報を共有するために、ひとまず情報を集中しよう、ということになるでしょうか。失敗するケースは、責任を集中して情報を分散化させる場合です。こうなると、メンバーは情報はもてず、かつ責任も負っていませんから、結局は特定の人に活動が集中してしまうことになります。

2)サポートセンターのイメージ


 組織の運営を情報の集中と責任の分散という観点から行おうとするとき、サポートセンターの組織は、どのようなイメージになるでしょうか。情報の集中は、会員が自らの活動で得た情報を会報編集部に集中することで解決できます。あとは会報に掲載することで、会員は一旦集中された情報を共有できますし、会報の場で議論することもできます。
 次に、責任の分散とはどのような事柄でしょうか。会員の活動の総体がサポートセンターの活動になりますが、会員がそれぞれの部署でサポートセンターの活動に責任を負う、ということがまず考えられます。ところがサポートセンターの活動の中心は、ワーカーズ・コレクティブを設立していくことですから、この事業と運動は当然にも会員だけでなく、非会員によっても担われることになります。だから責任を負う主体は、会員だけには止まらないことになります。そして、責任を負うメンバーが増えれば増えるほど、それだけ事業と運動は安定していきます。
 こんなイメージをとりあえず共有できないでしょうか。

3)情報の集中と共有という責任


 責任の分散化といいましたが、その時の責任とは一体なんでしょうか。
 サポートセンターは会員の自主性に発しますから、まずは自ら決定について責任を負う、ということになります。
 次に、ワーカーズ・コレクティブは共同の事業ですから、共同決定についても責任を負うということになります。でも、一番大切な責任は、情報を集中することで会員が情報を共有できるようにする、というところにあるような気がします。多分このことが確認されていないと、サポートセンターの活動が意義あるものにはならないように思うのです。
 私は以前に、組織はコミュニケーションの特有のあり方だと考えたことがあります。この見地からすれば、サポートセンターは、会員がコミュニケーションの場で発信授受主体としての責任を負うことではじめて成立する組織だということになります。こんなイメージの組織はこれまでなかったように思います。
 サポートセンターは、とりあえず、会員が「出来る事」「してほしい事」を発信授受するところから始まりますが、これはひょっとして「もう一つの働き方」を実践しようとしている人々のある種の地域社会の機能の実現かも知れません。




Date:  2006/1/5
Section: 研修会こぼれ話
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