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16.こぼれ話（その8）何が新しいのか

　新しい社会運動というのは何が新しいのでしょうか。

　旧い社会運動とは階級闘争のことでしたから、階級的視点に立っていないということが「新しい」ということになります。

　旧い社会運動も社会を変えようと考えていましたが、その際にまず政治権力をにぎらないと社会は変えられない、と信じ込んでいました。だから、協同組合運動を大切にする人たちには、改良主義者だという非難をあびせたものです。でも、政治権力をにぎってもうまくいった例はまだありませんし、ソ連邦は逆に崩壊してしまいました。
　けれども、今日でも政治運動が重要だ、選挙で政権党を落とすようにするのが重要だ、と大きな声で主張する人たちが後を断ちません。

　これまで何回か話したように、戦後の半世紀の日本と世界の社会の変化にはものすごいものがあります。社会自体は、政界がどうしようと、ドンドン変わっていっています。日本の政治を見る限りでは、この10年間政治は社会の変化の後追いをしてきたに過ぎません。とすれば、政治とは別のところで社会を変えていく動きがつくられていると考える他はありません。

　新しい社会運動の新しさはそれ自身が社会を変えていく主体となっているところにあります。社会を変える、ということは、そんなにたいそうな事ではない。色々な変え方があり、政治家や行政に訴えて何かやらせる事も変えたことにはなりますが、社会の根っこを変えた事にはなりません。しかし働き方を変えるとなると、経済システムを変えた事になるから、これの波及効果は大きいと思います。

Date: 2006/1/5
Section: 研修会こぼれ話
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